何度読んでも言葉がすぐには出ない。どんな言葉も十分に今ここで感じるものを表現しきれない限界とそれでもなんとか言葉にしてみたいという執着が今の自分と重なるからかもしれない。二人のやり取りは、自分たちを取り巻く状況や立ち上がる感情を学者として静かに考察する水面下で、じわじわと忍び寄る死と生きることに対する熱い感情やにじみ出る本音を交わしてもしている。書簡が交わされるペースはそれほど変わらないはずが、後半から最後にかけて感じる疾走感は「急に具合が悪くなる」ことへの受容と抵抗が交差するさまなのかもしれない。 この本が刊行され8年、映画化され、2026年6月に公開される。設定やストーリーは映画オリジナルだが、本書のエッセンスがふんだんにちりばめられたものらしい。しかも、本作映画はカンヌ国際映画祭で主演の女性二人が主演女優賞を受けた。本で繰り広げられている渾身のキャッチボールがどのように映像になったのかを見に行ってみたいと思っている。(ハナウタリスタ)
目次
はじめに
1便 急に具合が悪くなる
2便 何がいまを照らすのか
3便 四連敗と代替療法
4便 周造さん
5便 不運と妖術
6便 転換とか、飛躍とか
7便 「お大事に」が使えない
8便 エースの仕事
9便 世界を抜けてラインを描け!
10便 ほんとうに、急に具合が悪くなる
『急に具合がわるくなる』の舞台裏
謝辞
付記

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